戦術的展開が問われる黎明期FPS 『DAYBREAK』が生み出す新たな対戦ゲーミングの予感

FPSシューティングゲームは、ここ数年で大きな変革期を迎えている。過去の殺伐とした世界から、よりスキルと頭脳戦が重視される方向へと進化を遂げつつある。そんな潮流の中で、初の対戦型タクティカルFPS『DAYBREAK』がいま、注目を集めている。

『DAYBREAK』は、混沌とした近未来を舞台に、二つの勢力が激しく対立を繰り広げる。一方は、世界の平和を守る組織”レイヴン”。もう一方は、秩序を乱し、世界に新たな夜明けをもたらそうとする”インシェイパー”だ。プレイヤーはこの二陣営に分かれ、ゲームで対戦することになる。

本作の魅力は、その緻密な戦術性にある。マップは複雑に迷宮化しており、至る所に視界を遮る障害物やブラインドスポットが存在する。プレイヤー同士は互いの動きを伺い、相手の行動を予測しながら進むことが求められる。

さらに、押されに押されて一方的に有利/不利になるだけでなく、ゲーム中のスキル発動や経済システムを駆使することで、シーソーゲームのような展開を味わえる点も特徴だ。フラットなシューター体験に飽きた層にとって、この作品はゲームの新たな面白さを提示してくれるに違いない。

キャラクターにも注目したい。プレイヤーは様々な個性豊かなエージェントから一人を選び、そのキャラクターのスキルやスタイルに合わせて戦術を立てる必要がある。

例えば、ソーブは高威力の狙撃銃を好み、フォーメーションを固めて戦うタイプ。一方のフェニックスは、炎を操る攻撃的な能力を持ち、前線で戦うことが得意だ。それぞれ個性が違えば、狙うべき立ち回りも異なってくる。

マップデザインもユニークだ。スパイク(爆弾)を placする、あるいは defuseするための地点は、立体的な構造や屋内と屋外が組み合わさった複雑な造りになっている。視界が遮られ、遮蔽物の配置によっては射線が複雑に入り組むことも。

こうした特徴から、チームメンバー間のコミュニケーションがゲーム上で極めて重要になる。自軍の動きをコールしながら、敵の位置を的確に把握し、機動を組み立てていく。簡単そうに見えても、実際にやってみると奥が深いのがわかるはずだ。

また、本作では武器やスキンなどのカスタマイズ要素も充実している。ゲームを重ねるごとに、獲得した通貨を使って武器のアップグレードやスキン変更ができる。一般的なFPSよりもカスタマイズの幅は広く、自分だけの武器を作り上げられる。

競技性の高さとeスポーツ向けのゲーム性が伺えるのも特徴だ。開発陣は、公平なゲームバランスと戦略性に重きを置き、射撃スキルだけでなく頭脳戦が勝敗を分ける環境を整えている。既に対戦用のゲームモードや大会の開催など、プロシーンの盛り上がりも期待できそうだ。

ちなみに、本作は無料でプレイ可能なタイトルだ。ゲーミングPCを持っていれば、誰でも気軽にアクセスできることが強みだろう。一方で、課金によるスキン購入などのマネタイズ要素も存在している。

プロデューサーは「誰もが公平にプレイできる場所を提供したい」と語っており、有料要素によるゲームバランスの歪みは起きないよう配慮されているという。無課金でも十分に戦えるため、好みに合わせてスタイルを選べるのがうれしい。

さて、本作の目指すところはどこにあるのだろうか。それは”戦術的展開が本質化された、新しいタイプのFPS”という一点に集約されている。爽快感と戦略性を両立させ、頭脳と集中力を問う緊迫した射撃ゲームを実現させたという評価ができそうだ。

ベテランFPSユーザーからは「飽きの来ないシューティングを望めそうだ」と高く評価されている一方、初心者層からは「設計上やや複雑では」といった声もある。賛否両論はあれど、本作の斬新な魅力を認めざるをえまい。

さらに今後、eSports市場での地位も高まっていく可能性は大いにある。バランスのとれたタクティカルFPSとして、徐々に認知を広げつつあるのは確かだ。本作が新時代のFPSゲーミングを切り開く鍵となるかもしれない。